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「ひとりの人生を変える責任」-高校生が模擬裁判に挑戦
「模擬裁判プロジェクト」が3月中旬の3日間、高校生有志が参加して行われました。
このプロジェクトは、2023年1月から、18歳以上であれば高校生でも裁判員に選ばれる可能性が高まったことを背景に、一般社団法人司法教育支援協会(代表・熊田彰英弁護士)が中心となって企画されたもので、3日間にわたって、生徒たちは司法の実際を体験しました。
【担当教諭より】
第1日は、東京地方検察庁のご協力のもと、実際の裁判傍聴、公判検事による裁判解説、そして検事との座談会などが行われました。この日参加した生徒は全員、実際の裁判を傍聴するのは初めてということで、緊張した面持ちで、東京地方裁判所で行われた刑事事件の裁判を傍聴しました。その後は、この日傍聴した裁判を担当された検事による公判解説と座談会、模擬取り調べの実演などが行われ、裁判で感じた疑問点や検事の仕事などについて積極的に意見交換が行われました。
第2日は、今回のメイン企画である「模擬裁判」の準備が行われました。参加した生徒の希望によって、裁判官役、検察官役、弁護士役の3者に分かれ、それぞれの役割で、この裁判をどのように進めていくかについて、5名の弁護士の指導を受けながら、公判のストーリーを作り上げていきました。
そして、最終日の第3日は、都内有数の規模を誇る国士舘大学の模擬法廷をお借りして、模擬裁判が行われました。この日の被告人役や被害者役などは、経験豊富な弁護士の先生が担当されたため、前日までの裁判資料とは異なる証言などが複数飛び交い、検察側・弁護側両者が事前に用意してきたストーリーで、裁判を展開できないなど、悪戦苦闘するシーンがみられました。しかし、その場で、生徒たちは協力して臨機応変に質問を考えながら、なんとか公判を進めていく様子がみられました。
被告人の最終陳述が終了し、この日の裁判は結審。その後は裁判官役の生徒が1時間以上にわたり評議を行い、今回の模擬裁判の判決が言い渡されました。
今回、参加した生徒からは、「被害者や目撃者への質問では、事前に用意したものが使えず、その場で新たな質問を考えるのに手間取った。思うように証言を引き出せず、悔しい」や、「裁判は、ひとり(被告人)の人生を変えるだけでなく、その周囲にいる人たちの人生も変えるということを学んだ」、さらに、「弱い者の立場に立ち、相手の話を聞いた上で行動することの大切さを痛感した」など、「裁判」という枠組みを超えて、実際の生徒たちの日常生活に活かせる多くの〝気づき〟を得られたようです。
こうして、3日間の「模擬裁判プロジェクト」は終了しました。生徒たちにとって、この3日間の経験は、かけがえのないものとなりました。
最後に、今回、本プロジェクトを主導していただいた司法教育支援協会の熊田彰英弁護士をはじめ、ご協力くださった多くの弁護士の先生方、そして、すばらしい会場を提供してくださった国士舘大学の関係者の方々、傍聴人として参加していただいた法学部の学生の皆さんなど、すべての皆さまに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
↑ 今回のプロジェクトに参加した生徒たち
↑ 東京地方検察庁所属検事との座談会
↑ 模擬裁判事前準備で70ページを超える膨大な裁判資料を検討する生徒たち
↑ 国士舘大学模擬法廷での裁判の様子